先輩のタイトルを守る立場になった2004年度チーム。先輩の高いレベルの試合を肌で感じてみずからのものに変えていた新チームは、7月の愛知県選手権尾張予選で、見事準優勝。決勝も残り3分までリードするすばらしい試合を経験し、県大会に臨みました。この年から会場を豊橋総合体育館に変えての初めての大会で、高蔵寺高校(名北6位)に対し10−5で悲願の初勝利。しかし、勝った後も試合の反省、修正をし、ベスト8をかけた試合に臨みましたが、松蔭高校を破って波に乗る豊橋東(東三河4位)に3点差の悔しい敗戦を喫しました。
8月、猛暑の中、7月の雪辱を晴らすべく、練習に耐え、お盆休みも最小限にとどめて、尾張大会に入っていきました。2回戦を危なげなく勝ち上がりましたが、準々決勝で、前半思わぬ苦戦。後半こそ点差を広げましたが、精神的課題も露呈しました。しかし、翌日の準決勝。3年生の残る古知野相手に1点を争う好ゲームを展開。残り2分で同点に追いつかれる場面もすぐに決勝点をとる。最後に虎の子の1点を全員で守りきり、2大会連続で決勝にこまを進めました。決勝は、終始リードを許す苦しい展開となるが、後半1年生のサイドシュートが決まり、2点差に追いつく場面も。しかし、自力に勝る起工業が、有終の美を飾ることになりました。
夏休みがあけると、台風の当たり年ということもあって、満足に練習できない状況が続きました。文化祭、定期テストの日程、模試の開催、例年以上に厳しい日程の中で、選手たちは工夫をこらし、時に1日練習も断行して練習時間を確保し、新人戦に望みました。初戦は、過去最高の得点(37点)をあげる好ゲームで幕をあけ、続く準々決勝でも後半優位に進め、県大会連続出場記録をのばしました。大会中にも模試を受ける変則的な日程にも負けず、準決勝でも勝利。決勝では後半、これまでの蓄えてきた力が爆発し、「これぞ滝のハンドボール」という試合で、2年連続の新人戦優勝を飾りました。決勝の点差は開きましたが、何事にも代え難い価値ある優勝だといえます。
しかし、昨年先輩たちの「県」の厳しさを肌で感じている今の滝には、休んでいる暇はなく、次なる県に向けて練習に励んでいます。目標のベスト8を視野に入れつつ、さらに上(決勝リーグ進出)も狙っていきたいとたくらんでいます。
正月明けの県大会では高校2年生のスキー合宿中に発生した「ノロウイルス」が部員にも蔓延するアクシデントに見舞われコンディションづくりに苦慮する中で大会が開催されました。1回戦は名門桜台(名南3位)。前半硬さが見られ1点リードされて折り返す。しかし、後半は持ち前のディフェンスがさえ始め、徐々に点数を引き離し、夏以来の貴重な「2勝目」を挙げました。ベスト8にむけて2回目の挑戦となった東海戦。攻撃力では互角の戦いを演じたものの、相手の速攻、滝のディフェンスミスに漬け込まれ、結局8点差の敗戦、またしても苦杯をなめました。ほとんどの選手が足がつり、満足に戦えなかっただけに、次こそはの思いがさらに強くなりました。
約1ヶ月後に行われたウインターカップ(一宮・尾西地区ハンドボール競技会)では、決勝までまったく危なげなく「大勝」。尾張での力を確認するとともに、やはり「県大会で勝ちたい」という思いも一層強くなりました。
しかし、インターハイ予選は、ほとんどの高校が最後の大会となる重い大会。侮ることはできません。滝も春こそ嬉し涙で「卒業」できるよう勝つことの全てを出し切って尾張優勝カップを目指しました。
2回戦、準々決勝と危なげなく勝ち上がり、連続県大会出場も決めましたが、その試合でセンターが捻挫、チームは結成以来の最大のピンチを迎えました。今大会から準々決勝と準決勝が同日開催となり、エース不在で戦うことに。準決勝の木曽川戦、いきなり相手エースの連続得点などで0−3と不安のたちが上がりとなりました。しかし、主将のミドルが随所にさえ、前半を1点リードで折り返し。後半も主将の大活躍で終始リードを保ち、1点差に詰め寄られる最大のピンチも切り抜け、決勝に駒を進めました。逆の山を勝ち上がってきたのは、古知野高校。1−2−3のディフェンスシステムと粘り強いマンツーマンで押してくるチーム。志願して出場したセンターのディフェンス負荷も2年生が守りきり、21−9で2年連続の優勝を果たすことができました。この勝利は、チーム全員で勝ち取った意味あるものとなりました。
そしていよいよいよ、最後の戦い。インターハイ県大会が5月21日から開幕しました。毎年、最後の大会ながら定期考査のど真ん中に開かれるため、コンディションに苦慮していますが、少ない時間で短期集中し大会に臨みました。1回戦名古屋南高校(名南4位)戦は、立ち上がり硬さが見られ、相手センターのミドルシュートで幕を開け、前半は取られて取っての苦しい展開。しかし、18分過ぎに速攻が決まりだし、11−7のリードで折り返し、後半もキーパーからのワンパス速攻など滝本来の形を出し、安全圏に突入。ベンチ入りメンバー全員が出場する試合展開で1回戦を乗り切りました。次試合をスタンドで観戦することが出来る優位のなか、勝ち上がってきたのは、同地区の起工業でした。思えば、初優勝も長年のライバル起工業をやぶってのこと。因縁めいたものを感じました。これに勝てば、念願のベスト8。選手の期待も膨らみました。立ち上がり、これ以上ないという展開で1点2点3点と加算していく。気が付けば前半で大量リードをもらうことが出来る試合となりました。しかし、後半はディフェンスシステムの変更などで対応する起工業に、しぶとく粘られライバル校らしい激戦となりました。ピンチの時には初の愛知選抜候補の古川がチームを救うミドルシュートを決め、大きな壁をみんなで乗り越えることができました。
目標達成に、選手・チームは喜びを分かち合いましたが、奇跡はまだ続きがありました。 翌週行われた準々決勝。対戦相手は春の選抜全国ベスト8の岡崎城西高校。選手はこの日のために自己分析、自己との戦いを繰り返し、相手の名前でひるまない強い心を持つようになっていました。「仲間を信じ、己を信じ」を新しい合言葉にネバーギブアップの精神で相手に立ち向かっていきました。水野のミドルで幕を開け、宇佐美の速攻と2−0と理想的な立ち上がりを作り出しました。相手もミドルシュートで応戦してきましたが、滝の果敢な1対1を城西も止められず、1時3点差をつける場面もありました。しかし、徐々に詰め寄られ前半を10−12の2点ビハインドで折り返しました。後半はじわりじわりと点数を取られ、6点差開かれる場面もありましたが、ここで「ネバーギブアップ」の精神が闘志となって表れました。後半10分間相手の得点を1点に抑えると滝は怒涛の攻撃で2点差まで詰め寄る。会場も滝の応援が勝るかのような大迫力となりました。しかし、無常にもタイムアップを知らせる笛が場内に鳴り響き、泣き崩れる選手もいました。しかし、今大会の結果は誇れるものであると思います。何よりも「目標達成」の喜びを、この肌で感じた大会でした。
過酷な道を自ら選んだ選手達。しかし、これは天が与えてくれた自分でしか歩めない道である。ここからまた、大きくはばたいていってほしい。 戻る